第25章 耳掃除をしよう(安土勢)
「女性の部屋を覗くなんて趣味が悪いですよっ!」
光秀「おや、俺はそんなこと一言も言っていないが」
「つまりはそういうことでしょう?!」
光秀「見回りも兼ねている、そう怒るな」
城の中で襲われたことが何回かあるので、そう言われてしまうと強く言えない。
仕方なく耳かきを持ってきて座った。
敷き布団がそのままにしてあったので、それを座布団代わりに使うことにした。
「では夜中に見回りしてくれていたお礼に耳掃除をしてあげますね。
寝転んでもらえますか?」
膝を叩くと、光秀さんがスッと立ち上がり、静かに横たわった。
(寝転ぶ動作が綺麗…。どうやったらこんなふうになるのかな)
女の私よりもよっぽど動作が洗練されていて羨ましい限りだ。
光秀「さてお手並み拝見といこう」
「お手並み拝見ってほどじゃないですよ。もう少しこちら側に頭を置いてもらえますか?」
光秀「こうか?」
一度頭を持ち上げ、置き直してくれた。
今日は随分素直だなと思っていると、頭の位置がさらに移動し、光秀さんのおでこが私の下腹にこつんと当たった。
「近すぎてやりにくいです、光秀さん」
光秀「つい頭が滑ってな……」
「頭が滑るって…もっと上手い言い訳してくださいよ」
光秀「いい匂いがする。温かい」
「?」
(やばい。光秀さんが変態になった?)
そう思ってやっと異変に気が付いた。