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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第39章 桜餅か桜酒か(信玄様&謙信様)


(この体勢、首と腰にくる…!)


謙信「まだ足りないな」

「うぅーん、もう結構キツイんですけどっ…」

謙信「まだ足りていないぞ」

「う、これが限界です~~!」

謙信「仕方のないやつだ。手を貸してやろう」


笑った気配のあと彼の片手が動き、私の手首をグイと引っ張った。


「わわっ」


腕につられて身体まで引っ張られて、私はあえなく広い背中へと衝突してしまった。

鼻をぶつけて横を向くと、頬と耳が、それに私のささやかな胸が鋼のように硬い背中に押し付けられて潰れた。


(ぎゃ~~~~~!ちょっと!!これくっつきすぎ!)


「う、わっ、待ってください。これはちょっとだめ…っ」

幸村「おっせーよ。ほら皿と箸な、落とすなよ!」


体勢を戻す前に幸村の楽しそうな声が聞こえてきて、お箸とお皿を持たされた。

お皿には食べ物が乗っているらしく私が手を引っ込めたら上物の羽織を汚してしまうだろう。


「け、謙信様、このままでいいんですか?
 もう少し離れた方がいいですよね?」

謙信「このままで良い」


短い返事からは彼の機嫌がどうなのか判別が難しい。怒らないって言っていたけど、物凄く嫌そうにしていたらそれはそれで悲しい。


幸村「ほら、早く皿のかまぼこを謙信様に食わせてみせろよ」

「今度はかまぼこなの?掴みにくそう…。
 ん?その前にかまぼこはどこなのよ?」


空中で箸をカシカシと空振りさせると皆が笑った。

ツルツルするかまぼこを掴むだけで手間取り、皆のアドバイスをもとに箸を動かしていく。


佐助「もう少し下……かな」

「かな?じゃなくて、お願いだよ、佐助君~~。
 外したら私の命がかかってるんだから」

幸村「ぶっ、まさかだろ。このくらいで大げさな奴だな」


女嫌いの人に抱きついている私の緊張感を幸村はぜんぜん理解してくれない。
ケラケラ笑う幸村にかまぼこを投げつけたくなった。


(失敗したらどうなると思ってんの、幸村のバカー!)


密着している体はすごく逞しくて、鍛えられているんだと嫌でもわかる。意識しないなんてムリだ。

耳の奥がドクドクと脈打ち、盛んにさえずっているはずの鳥たちの声も聞こえない。


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