第38章 息が止まるその時に(謙信様:誕生祝SS2025)
母「あら…〇〇新幹線って明日舞が乗っていくのよね。
復旧するかしら?」
父「停電の原因がわからないみたいだな。
あ、ほら、明日運休の可能性もあるって言ってるぞ」
母「やっぱりやめておいた方がいいんじゃない?」
姉「運休じゃなくても今日のしわ寄せがいって駅とか凄い混みそうじゃん?
流石にやめといたら?」
「えー…ここまできてやめたくないんだけど」
テレビ画面に臨時バスに乗り込む人達の行列が映りこんで、『停電復旧に数日かかるか?』という字幕が出ている。
「とりあえずホテルに電話してくるね。
キャンセルじゃなく延期の場合どうなるか聞いてみる」
自室のドアを開けてすぐのところに旅行用のバッグがぽつんと置いてあった。明日は朝早いからと張り切って置いたのに、まさか新幹線が止まるとは思わなかった。
「あーあ、せっかく準備万端なのに」
さすがに新幹線が止まると気が削がれてしまって、ガッカリしながらアプリのスケジュール表を開いた。
「1、2日で復旧するかなあ。3日後出発にすると、あぁ、だめだ、こことここは予定が入ってた。
1週間後だと新しい仕事が始まる直前になるから落ち着かないし…」
あんなに行かなきゃいけないと思っていたのに予定が合わないと急に面倒になってきた。
「だる……全部キャンセルにしちゃおうかな」
くさくさした気分でベッドに寝転んで……目を閉じた。