第37章 姫の年越しシリーズ(2025年)・1月1日
天主に二人きりになった途端抱き寄せられ、誰もが見惚れる容姿と鼓膜を震わす低音ボイスで愛を囁かれ、腰を抜かしたところを布団に押し倒されてしまい………
「触れないでって…ぁ!」
信長「誰が約束を守ると言った?
護衛に選んだ時点で舞の心は俺のモノだ」
緋色が熱情に赤く赤く燃えがって、私の心まで焼き尽くした。
色々考えたかったはずなのに信長様の熱は想像していたよりずっと熱く、溶かされているのもわからないくらい甘かった。
1月2日…
「おみくじに『何事も忍耐』って書いてあったじゃないですか!
指1本触れないでくださいって言ったのに手が早すぎですっ」
おみくじの運勢は『冷えに注意』から始まり、信長様と私の『恋愛成就』は一晩のうちに叶ってしまった。
速さと的中率の高さはありがたいというかは不気味だった。
信長様が初詣でなんにも願い事をしなかったから神様仏様がイタズラしたのかもしれない。
信長「貴様は身も心も同時に奪わねば面倒なことになりそうだったからな」
「それは…」
(確かに目の前に立つだけで緊張の汗が出てくるのに恋人になれる?とか男性としてドキドキじゃなくて緊張でドキドキして、しまいにいい雰囲気の時に格好良すぎてどこ見ればいいかわかんないし、多分だけどめちゃくちゃ頭よくて私と会話が噛み合わなくてイライラしないんだろうかとか、ああ、でもでも毎日一緒に居られたらどんなに素敵かな、いや見た目に騙されちゃ駄目よ、中身はめっちゃ怖いんだから、でも大福に顔を描けって可愛いところもあるし、昨夜なんてすごい良かっ……うーーー…、……)
くだらないような重要なような悩みは1人で考えてもどうしようもないようなことばかりで、結果として変に悩むよりも強引に奪われて良かったのかもしれない。
信長「気持ちが良いとよく囀(さえず)っておいて文句があるのか」
からかってくる信長様の表情がどこか柔らかい。
「う…」
つい見惚れて不満が言えなくなり、代わりに頬が膨らんだ。
信長「…餅かどうか食らってやろう」
そう言って信長様は優しくキスをくれた。
信長様ルート END