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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第34章 呪いの器(三成君)


顕如「この厄介品の供養には時がかかる。定まった寺を持たない私には難しい話だ。
 他をあたりなさい、蘭丸」


ところがいくら断っても蘭丸は諦めず、仕方なく顕如は妥協案を出すことにした。


顕如「この間の寺に供養塔を建て、経をあげるところまではしてやろう。
 その後はあそこの住職に任せる。
 蘭丸、お前がそこまで舞姫のために必死ならば、毎日寺を訪れて手を合わせると良い」

蘭丸「ありがとうございます、顕如様!
 俺、毎日通いますっ!三成様にも教えて、皆で心をこめて供養します」

顕如「三成?あの女子(おなご)は石田三成と関係があるのか」

蘭丸「ええ、彼女は三成様の恋仲です」

顕如「……あぁ、なるほどな。
 あの女子の憂いはそれだったか」


石田三成の色恋沙汰が噂された時期が丁度あの頃だったと、顕如はあの日の舞の絶望の意味を知った。


顕如「よりは戻ったのか」


蘭丸はもちろんですと瞬時に頷いた。


蘭丸「戻るも何も、あの噂が間違っていたんです。
 二人の間に割って入れる人なんて居ませんよ」


誰もが見惚れる笑顔の影に、顕如は密かな感情を見いだした。


顕如「そうか…。お前も不毛なことをしているな」

蘭丸「えっ!何のことですか?」


とぼけているが透き通った肌というのは赤みを隠すには不都合だ。

幼子の頃から世話をしていた蘭丸に成長を見て、顕如は人らしい穏やかな笑みを浮かべた。


顕如「明日の早朝、あそこの寺に行って簪を供養しよう」

蘭丸「は、はい。顕如様。お供します」




こうして安土のはずれにある寺に供養塔が建てられ、三成をはじめ安土の武将達が幾日も幾日も供養に訪れ、成仏を願う花や供え物が途切れなかった。

そして椿の夫である大名や2人の娘達もまた、遠路はるばる訪れて長いこと手を合わせたのだった。


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