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【SB69】レディ・レディ[オムニバス]

第2章 愁パート 完


Amatelastのライブが終わり終電を逃した俺たちはヒロインの楽器店に転がり込んだ。
「もともと物置にしてたところを片付けて住んではいるんだけど……晩御飯はまだでしょ?残り物でいいなら準備できるけど」
「悪りぃな。ホテルも満室だし、愁もネカフェは嫌っつってな……妹さんらは?」
「家。ここには住んでないから気にしないで」
そう言って台所に消えていくヒロイン。
ズボラに見えるようで案外丁寧な生活をしているらしく、部屋は整理整頓されていた。
「つーか、俺ら以外にこんなことすんなよ。女の一人暮らしならいつ襲われてもおかしくねーかんな」
「するわけないでしょ。ロムがいなきゃそもそも良いなんて言わないし」
鍋に入れられたままの味噌汁とタッパに入れられたままの煮物や肉類が出てくる。
「私の一週間分の食糧なんだけど」
「金は払うって」

食べ終わり、3人が雑魚寝し始めた頃、俺は眠れずにヒロインのいる一階に降りた。
アコースティックギターのなる音が聞こえ、店の防音がしっかりとしていることに気がつく。
事務所に入るとごちゃごちゃした機械やらなんやらが無造作に置かれていて、作業場と一目でわかった。
「……眠れない?」
「そういうわけじゃねーよ」
そばにあった椅子に勝手に腰掛ける。
「なんか弾こうとしてたんだろ?弾けよ」
「……二人きりで演奏するって、ちょっと恥ずかしいんだけど」
「プロだろ?恥ずかしいなんて言ってんな」
苦笑いされるが、ヒロインが大きく息を吸い込む。




「………………I'll never be able to give up on you」









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