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【SB69】レディ・レディ[オムニバス]

第2章 愁パート 完


整った顔立ちに魅了するギターテクニック。
楽器の整備や修理の腕前も確かで、苦悩などないのだろうと思っていた。
ある日、臨時休業の張り紙を見て胸がざわついた。
時折見ていた楽器屋の女主人であるヒロインの母親が死んだということだった。
理由は聞きもしなかった。どうだってよかった。
ただ、それから直ぐに今度は高校に通い始めた筈のヒロインが常に店にいるようになったことに気がついた。
「中退……したんだ。妹達も食わせなきゃいけないし」
客の少ない楽器店。穴場としては非常に優秀ではあるが、決してやっていけるほど儲けているわけではないとそこで初めて知った。
「まあ、今後も贔屓にしてよ。そしたらきっと……なんとかなる、なんとか…しなきゃ」
年下とは思えない程しっかりしていた。
V系バンド絶頂期。時代も味方していたのか、少し寂れた楽器店にメンバーで来るのがエモいという風習も相まって、ヒロインの手掛けたオンラインでのメンテナンスや修理、販売も軌道にのりなんとか目処がつくようになった頃だ。俺はAmatelastを結成した。
俺、Adam、Eve、ロムの四人で結成したヴィジュアルバンド。フロントマンは俺。
数多あるVバンドの中でも俺らの人気は下の下だった頃、初めての対バン相手はヒロインたちとだった。
結果は惨敗。しかしそれにより確実にファンは増えていった。
3Pの高校生バンド。
ライブも数をこなし、対バンでも少しずつ勝利するようになった頃、ヒロインとボーカルの男が付き合っていることを知った。
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