第64章 世界一大きな幸せ
煉獄家の剣術道場は杏寿郎の人柄のお陰もあって評判となった。
広大な土地の管理は基本的に槇寿郎が受け持ち、千寿郎がサポートしている。
そして、菫は可愛い息子を育てながら次の命を授かった。
菫を喪いかけた杏寿郎は子供を作る事に反対したのだが、菫が『娘の顔を見たい』と押し切ったのだ。
そして、菫の願い通り第二子には女の子が産まれた。
「やっぱり綺麗な色。」
齢三つの娘の髪を、大事に使っている古い櫛で梳かしながら菫はそう呟いた。
杏「癖毛でないと静かに燃える炎のようだな。」
「ええ。」
菫は息子を肩車しながら側に来た杏寿郎に微笑みかける。
杏寿郎もまた微笑み返すと息子を下ろして菫の隣に座った。