第63章 受け継がれる命
その後、ゆっくりと丁寧に愛し直した二人は一つの布団に包まって子供の話をした。
杏「初めは息子が欲しい。早く剣術を教えて稽古をつけたい。」
「私は娘の顔を早く見たいです。煉獄家の色を持った女の子はとても愛らしい筈です。」
杏「それもそうだな!男だろうと女だろうと楽しみだ!」
そう言って菫の腹を撫でる。
すると菫は困った様に微笑んだ。
「子は授かりものです。すぐに出来るとは限りませんよ。」
杏「…そうだろうか。」
その納得していない杏寿郎の言葉通り、菫の月経はピタリと止んだ。
槇「菫さん!」
槇寿郎は報せを聞くと道場から走って来て格子戸をすぱんと開けた。
槇「聞いたぞ!本当なのか!!」
千「父上、あまり大きな音を立ててはなりません。」
杏「はい、俺の子を宿してくれました!」
そう伝える杏寿郎は菫の手を大事そうに握っている。
「杏寿郎さんのお体が優れていたからだと…。」
杏寿郎が慌てて敷いた布団の上で菫は幸せそうに微笑んでいた。
槇寿郎は孫を見れるのだと知ると部屋に入って膝をつき、感極まった顔をした。