第62章 ※遠い初めての夜
「……またして下さい。したい時に、杏寿郎さんのしたい事を…好きにして下さい。」
杏寿郎の喉がごくりと鳴る。
「私の体は…貴方様のものですから。」
それを聞くとずっと固く大きくなっていた昂りを蕩けた蜜壺に押し込んだ。
「…ッッ」
杏「そんな事を言っては駄目だろう…!俺が思い切り愛せば君の華奢な体は壊れるぞ!!」
そう分かっているのに煽られに煽られた腰は止まらない。
菫はなんとか手を伸ばして杏寿郎を受け入れるように抱き締めた。
「大丈夫です…こちらは丈夫に出来ています…思い切り、愛して下さい…私も杏寿郎さんが望む方法で…愛されたい、のです…!」
その言葉に理性を手放しそうになったが、杏寿郎は青筋を立てて踏み止まると菫を優しく抱き締め返した。
杏「それでも心配だ。それに一方的に思い切り愛す事が俺の喜びではない。愛し合ってこそ幸せを感じる。きちんと君の顔を見て、声を聞いて、君が相手でなければ得られない幸福感を味わいたい。」
それを聞いた菫はどうしようもなく心が温かくなるのを感じた。
「…これ程素敵な旦那様に選ばれ、愛され、本当に私は世界一幸せな妻です。」
そうして二人は尊い絆を確かめ合うと、挿入している状況下で欲の無い清らかな笑みを浮かべたのだった。