第61章 祝いの日
杏「確かに似合いの二人だな。」
親戚に捕まっていた杏寿郎は帰ってくると菫にそう言った。
「ええ。二人が幸せになってくれたらとても嬉しいです。とてもお世話になった二人だから…。」
杏「そうだな。俺も彼にはとても世話になった。君の口説き方を一緒になって考えて貰ったんだ。」
その言葉を聞いた菫は目を丸くしてからくすくすと笑った。
杏寿郎はそんな笑顔を愛でるように目を細める。
杏(いつまでもこうして隣で笑っていて欲しいものだな。)
杏「…後悔させない。必ず君を幸せにする。」
その言葉に菫は少し困った様な笑みを向けた。
「今でさえ、これ以上ないと言う程に幸せだわ。」
杏寿郎はそれを聞くと太陽の様な笑顔を浮かべる。
初めてそれを見たのは今から六年前。
菫の長い恋心はぐるりと回り道をしながらも、こうしてとうとう幸せな結末を迎える事が出来た。
二人がそうして幸せそうに微笑み合っていると、再び挨拶をしたいという者が寄ってくる。
杏「ゆっくり夫婦の時間を味わえるのはまだ先のようだ。」
「そうですね。」
そう言って再び微笑み合うと、二人は煉獄家を背負う者として姿勢を正した。
そうして祝いの日、門出の日は恙無く終わり、祝宴は翌朝まで続いた。
そしてついに菫は、煉獄家が長男煉獄杏寿郎の嫁、煉獄菫となったのだった。