第61章 祝いの日
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杏「…………………………。」
杏寿郎は菫の白無垢姿を見て文字通り言葉を失った。
何度も想像してきたが、そんな物は霞んでしまう程に彼女の内から出る透き通った色が馴染んだ姿は美しかった。
杏「…綺麗だ。」
他に何と言えば良いのか分からなかった。
だが、その声音を聞けば杏寿郎がどれ程の重みを持って言ってくれたかなどすぐに分かる。
菫は心底幸せそうに微笑んだ。
「杏寿郎さんもとっても素敵です。」
そう、杏寿郎と菫の祝言の日が来たのだ。
煉獄家で開かれたその場には両家の家族、親交のあった親戚に二人が呼んだ圭太が居る。
菫は圭太と目が合うと少し泣きそうになりながら微笑んだ。