第60章 初めての宴
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角「……う…。」
天「起きたか。駄目だぜ、高い酒だからって飲み過ぎちゃ。」
それを聞いた角田は青ざめる。
ふと横を見ると先に目を醒ましていた権田も青ざめていた。
角「あ…、菫お嬢様は……、」
天「酔い潰れて婚約者様に介抱してもらってるぜ。でもお互い様だろ。この失態に目を瞑って欲しければあいつらの事はそっとしておいてやってくれ。」
元々二人をそっとしておいてやりたいと思っていた角田達は、重國の顔を思い出しながらも頷いたのだった。
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そうしてハプニングはあったものの宴会は楽しく続き、鬼狩りに追われていた時間を取り戻すように朝まで続いた。
蜜「次は煉獄ご夫妻の祝宴でですね!」
そう近くないうちに集まれる事が分かった皆は比較的あっさりとした空気を纏っていた。
杏「うむ!是非来てくれ!日付けが決まり次第連絡する!!」
誰にでも愛される太陽のような笑みに、その場に居た者も笑顔を返した。
隣にはすっかり酒の抜けた菫と角田、権田も立っている。
菫は杏寿郎に向けられる笑顔を眺めながら、皆に慕われる杏寿郎が誇らしくて、その上夫にまでなってくれるのだと言うことが嬉しくて、有難くて、『こんなに幸せで良いのだろうか。』と思った。
(それでも、私を選んで下さったのだから…。)
菫はそう思うと精一杯いい妻になれるように頑張ろうと気合いを入れたのであった。
それから杏寿郎は菫を清水家へきちんと送り届け、昼まで睡眠を取ると明日の顔合わせの為に家族三人で準備を始めたのだった。