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【鬼滅】敬愛と情愛【煉獄さん】

第59章 それぞれの




菫は再び自室に戻って荷物を手に取ると縁側へと向かった。


すると庭では杏寿郎が木刀を振るっていた。


「…………。」


菫が縁側に居て、杏寿郎が庭で鍛錬をしているというシチュエーションも幾度となくあった。

それもこの屋敷では最後だ。


「……………………杏寿郎さん、」


菫は見れば見るほど目が離せなくなってしまいそうで、なんとかそう声を掛けた。

杏寿郎はパッと振り返ると、菫の顔を見て大きく目を見開き急いで駆けて来た。


杏「煉獄家もこの屋敷とそう変わらない!寂しい思いもさせない!すぐに此処と "同じ" になる!!」


杏寿郎に肩を掴まれて心配そうに顔を覗き込まれると、菫は小さく首を傾げた。


「そんなにおかしな顔をしていましたか…?」


その言葉に杏寿郎が頷く。


杏「ああ、泣きそうに見えた。」


そうはっきりと言われると菫は庭へ降りて杏寿郎の胸に手と額を押し当てた。

そしてそのまま黙ってしまうと杏寿郎は少し眉尻を下げて菫を抱き寄せた。



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