第58章 休養―其の弐
(……俊彦さんからだわ…。)
俊彦からの手紙には鬼殺隊の勝利を一族代表として祝う言葉が並んでいた。
しかし、追伸には俊彦本人の言葉が記されていた。
それは、青い彼岸花の研究をしていた花岡家の当主、花岡藍佑が屋敷を訪ねてきて『成功体がただの鼠に戻ってしまった』と騒いだのだが何か知っているか、と言うものであった。
(青い彼岸花の薬の効力が切れたのは剣士様達だけではなかったんだわ。まるで、鬼舞辻を斃したら満足したかのように…。)
菫は『もうあの花はただの綺麗な花に戻ったのだろう』と思いながら返事を書くと、今度は要ではなく人に手紙を託した。
(…眠い……。)
以前、杏寿郎が利き腕を負傷した時は殆ど寝ずに世話をした。
しかし、今は菫も一晩走り回っていた為に体中が酷く痛んでいた。
(……あんな大怪我をなさっていたのに気持ち良さそうに寝ていらっしゃる…。顔色も、悪くない…、)
杏寿郎の頬を撫でる菫の瞼は落ちかけている。