第57章 闘いを終えて
―――
千「ではまた来ます。」
槇「安静にしているんだぞ。」
槇寿郎と千寿郎はあまり長居せずにその日は帰ることとなった。
「杏寿郎さん、お見送りして参ります。」
菫が二人を追って立ち上がりながらそう言うと、少し妻っぽさを感じた杏寿郎が良い笑顔を浮かべた。
杏「うむ!頼む!父上、ありがとうございました。千寿郎も来てくれてありがとう!」
その言葉に槇寿郎と千寿郎は微笑んだ。
槇「菫さん、杏寿郎を頼みます。」
千「またお会いしましょう。」
門の外まで出た二人は振り返ってそう言った。
菫はそんな二人に笑みを返す。
「槇寿郎様、お任せ下さい。千寿郎さん、楽しみにしております。」
そう言うと深々と頭を下げる。
「どうぞこれからも宜しくお願い致します。」
菫は二人の姿が見えなくなるまで見送ると口をきゅっと結びながら門の中へ入った。
(ご家族にお会い出来た。槇寿郎様が、お父様が、杏寿郎さんと話して下さった。千寿郎さんとも……、)
―――ガラッ
そんな事を考えていたら声を掛けるのを忘れて戸を開けてしまった。