第15章 声
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杏「うむ!皆大した怪我は負っていないな!感心感心!!」
手分けをして鬼を探した結果、階級の低い隊士達が最初に出くわした。
そしてその隊士達が苦戦していると上官が駆け付けてそれを庇いながら戦い、更に駆け付けた杏寿郎が呆気無く首を斬ったのだ。
杉「炎柱様、お疲れ様でした。階級、乙の杉本と申します。」
杏寿郎が刀の手入れをしていると後輩を庇いながら闘っていた隊士、杉本が近寄ってきた。
杏寿郎は丁寧に挨拶をしてきた杉本を見て晴れ晴れとした笑顔を浮かべた。
杏「君の事はよく覚えている!見事な立ち回りだった!」
そう気持ち良く褒められたが、他の事を考えていた杉本の表情は変わらなかった。
杉本は一瞬視線を横に逸した後、再び口を開いた。
杉「清水、きちんと働いていますか?あいつとは旧知の仲で、あいつが蝶屋敷で薬の調合をしている頃はよく世話を焼いていまして…。」
杏寿郎はそれを聞くと、明るい笑顔を浮かべながらパッと目を見開いた。