第57章 闘いを終えて
「いえ…、ですが恐らく立花家から伝わっていると思われます。」
杏「そうか。それなら尚更すぐに手紙を送らねばならないな。窓を開けてくれ。要が付いてきてくれている筈だ。」
菫は返事をするとすぐに窓に駆け寄ってそれを開いた。
杏寿郎の言った通り、要はきちんと杏寿郎を追って蝶屋敷へ来ていた。
杏「要、清水家へ手紙を届けて欲しい。」
「私が書きます。少々お待ち下さいませ。」
菫はそう言うと慌てて書く物を探しに病室を出て行った。
千「……僕には母上の記憶がほとんどありませんが…それでも重なって見えました。」
千寿郎がそう言って杏寿郎を見遣ると、杏寿郎は明るい笑みを浮かべていた。
杏「うむ、似ているか似ていないかで言えば確かに似ているかも知れないな!だが、菫は凛とした魅力よりも、」
『愛らしい魅力を持つ女性だ。』、と言いそうになって口を噤んだ。
千「……?」
杏寿郎は千寿郎に顔を覗き込まれると口角をきゅっと上げる。
杏「とにかく!!菫は千寿郎が思う程母上には似ていないと思うぞ!!!彼女は、」
―――バンッ
千寿郎が後ろからした大きな音に身を竦めながら振り返ると、不穏な笑みを浮かべたしのぶが入って来た。