第15章 声
杏「では行ってくる!!」
「はい。お気を付けて行ってらっしゃいませ。ご武運を。」
杏寿郎は菫に見送られると笑みを浮かべながら走り出した。
杏(合同任務は久し振りだ!柱として恥ずかしくない働きをせねばな!!)
―――ザザーッ
杏寿郎は足を滑らせて勢いを殺すと、目的地である山の手前で止まった。
杏(要が言っていた村はあれか。家が多い。村人は…、)
仲間と合流する前に家々を確認すると、その村は暗い空気に包まれている事が分かった。
その村から少なくない数の犠牲者が出ていたからだ。
杏(犠牲者は此処の村人だけでも約三十。他の麓の村々も合わせれば百人に近い。それに山を越えようとした者も帰ってこなくなっている。そして―、)
杏寿郎は自身に気が付いて慌てて駆け寄ってくる鬼殺隊士に口角を上げた表情を向ける。
その隊士は前日から任務にあたっていた者だ。
杏(――鬼殺隊士の犠牲者は二桁に達している。)
杏「鬼殺隊の煉獄杏寿郎だ!情報を共有してくれ!!」