第57章 闘いを終えて
しかし、全てが終わったのだと皆がそう思った時、その場に集められていた剣士達が一斉に膝をついた。
「杏寿郎さん!!」
菫は突然崩れ落ちた杏寿郎の側に膝をつき、大きな背に手を当てた。
杏「…大丈夫だ。」
そうは言っても冷や汗が頬を伝って止まらない。
菫はその様子を見て瞳を揺らした。
「む、蟲柱様…蟲柱様…ッ」
菫はそう呼びながら顔を上げて初めて、この異常が杏寿郎だけに起きているのではなかったのだと知った。
(………隠の人は何ともなっていない…様子がおかしいのは剣士様だけだわ…。)
見ればしのぶは必死な様子で他の柱の様子を診て回っている。
(蟲柱様だけ動けていらっしゃる…。蟲柱様は…蟲柱様だけはあの薬をお飲みになられていない…という事は……、)
そう考え至ると再び視線を杏寿郎に戻す。
「杏寿郎さん、恐らく青い彼岸花の薬の力が消えました。」
それを聞いた杏寿郎が納得したように頷いた。
杏「随分とあの体に慣れていたようだ。」