第56章 最終決戦
(……竈門様がお戻りになられたんだわ…良かった…本当に終わったんだ、今度こそ……。)
離れた所で歓声を聞いた菫はそう思うとその場にすとんと膝をついて涙を溢した。
鬼に狂わされた人生がやっと元に戻る。
愛しい人と平和な世で過ごせる。
菫は溢れる感情でいっぱいいっぱいになり、その場に伏して涙を流し続けた。
杏「菫!大丈夫か!!」
駆け付けた杏寿郎は菫が丸くなって震えていた為、どこか怪我でもしていたのかと勘違いして青ざめた。
しかし、すぐに酷く泣いているだけなのだと気が付くとほっと息を吐き、優しく涙を拭っていった。
杏「暫く療養する事になるだろうが、動いて良いと許可が下り次第君のお父上と俺の父上に会いに行こう。」
「……はい。」
杏「そしてお許しが出たらすぐに祝言を上げよう。蓮華さんと一緒に祝うのも良いかも知れないな!」
その言葉に菫は泣くのを忘れ、少し目を丸くした後ふわっと花のように笑った。
杏寿郎はその笑みを見ると幸せそうに目を細め、周りが自身達を見ていない事を確かめてから菫の額に口付けを落としたのだった。