第56章 最終決戦
禰「負けないで。あともう少しだよ。鬼になんてなっちゃだめ。帰ろう、ね。家に帰ろう。」
「杏寿郎さん!!」
菫は禰豆子の言葉を炭治郎が大人しく聞いている間に駆け戻り、杏寿郎に薬を投げ渡した。
杏「よくやってくれた!!」
杏寿郎は薬をパシッと受け取るとダッと駆け寄って炭治郎の首に針を刺した。
杏「戻って来い、竈門少年。」
すると炭治郎の体がふっと力が抜け、その場に禰豆子共々倒れ込んでしまった。
善「炭治郎!!」
伊「おい!!」
炭治郎を仲間として大事に思っていた隠や隊士、共闘した柱の面々は倒れ介抱される炭治郎を見守った。
炭(帰りたい…、)
炭(無限の命なんか少しも欲しくない、いらない…みんなの所に帰りたい…、)
炭治郎は内に残る無惨の考えを否定し、拒絶し、自分を呼ぶ声を聞くと上を見上げた。
炭(みんな…、)
炭治郎は薄く目を開くとぽろぽろと涙を溢して禰豆子を見た。
炭「……ごめん、怪我、大丈夫…か…。」
本物の炭治郎の言葉に皆が安堵の息を吐き、喜び、涙した。