第56章 最終決戦
(今は屋内に避難していらっしゃる筈…恐らく先程の少年と一緒に…!)
家屋を覗きながら走っていると愈史郎の声が聞こえた。
「!!」
菫はバンッと戸を開けると威嚇する愈史郎を無視して珠代に頭を下げた。
「竈門炭治郎様が鬼にされてしまいました!人に戻せる薬は余っていませんか…!大切な御方なのです!!お願いします…!!」
珠代は菫の顔をすぐに上げさせると薬が入った注射器を手渡してくれた。
今まさに愈史郎とその事について話していたのだ。
珠「私にとってもあの方は大切なのです。陽の下に出られない私の代わりに、どうかよろしくお願いします。」
菫は速い対応に目を見開いたが、すぐに再び頭を下げてから家屋を飛び出した。
その頃、駆け付けた禰豆子は動きを抑えるように炭治郎を抱き締めていた。
そんな危険な事をする禰豆子を止められない程に皆手一杯だったのだ。
禰「お兄ちゃん、ごめんね…!」
炭治郎は禰豆子の肩に噛み付いてしまっている。
禰「ずっと私何もわからなくなっててごめんなさい。お兄ちゃん独りに全部背負わせたね。」
周りを囲む柱達は禰豆子を巻き込んでしまいそうで踏み込めなくなっていた。