第56章 最終決戦
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杏寿郎が言った通り、本当に二人切りの時間は少なくなった。
しかし、最終決戦が近付いている異様な空気の中では二人とも寂しさなど抱く暇が無かった。
―――そして、一ヶ月と少し経った時、とうとう無惨が耀哉の居場所を突き止めてしまった。
鴉「緊急招集ッ!!緊急招集ーッ!!」
その夜も鍛錬に励んでいた杏寿郎達は、屋敷上空を旋回する鴉に目を遣った。
鴉「産屋敷邸襲撃ッ、産屋敷邸襲撃ィッ!!」
隊士達は目を見開くと、木刀から手を離して日輪刀を持って来ようと縁側に駆け寄った。
―――ダンッッ
「杏寿郎さん!!」
いち早く反応していた杏寿郎は、隊士達と入れ替わる形で縁側の床を蹴って跳躍した。
隊士達は杏寿郎が巻き起こした強い風に顔を覆い、菫は足袋のまま庭へ出る。
すると、塀の上に立った杏寿郎が振り返った。
杏「菫!!俺は行く!!君は留守を守っていてくれ!!!」
「…はい!!お気を付けて!ご武運を…!!」
付いていく事は叶わない菫は悔しさや焦燥感を抱きながらも何とかそう返し、他の隊士の出陣の用意を手伝った。
―――が、