第54章 嫉妬
(お館様は何故、竈門様のことも…。)
菫がそう思ってじっと見つめていると、炭治郎がくんくんと匂いを嗅いで菫の方を向く。
炭「……大丈夫です!!」
そう人好きのする温かい笑顔を向けられて、菫は自身が炭治郎を心配していたのだと気が付いた。
「そう、ですね。…お帰りをお待ちしております。」
菫がそう微笑みながら握り飯を手渡すと、炭治郎は驚いた顔をした後にまたにこりと笑った。
杏寿郎はそんなやり取りを見ながら炭治郎の肩をぽむっと叩き、再び菫に視線を遣る。
杏「では行ってくる!買い物の際は必ず笠を被るように!!」
菫は杏寿郎を真っ直ぐ見つめ返して穏やかに微笑んだ。
「はい。お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
杏「うむ!!」
笑顔の杏寿郎に頭を優しく撫でられながら、菫は次に蜜璃へ視線を移した。