第54章 嫉妬
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「杏寿郎さん、恋柱様、おにぎりです。宜しければお持ち下さいませ。」
菫はそう言うと、門の外まで抱えながら運んできた風呂敷を二つ差し出した。
蜜璃用の可愛い色合いの風呂敷は杏寿郎の物より大きい。
杏「毎度ありがとう!とても助かる!!」
蜜「わあ!私の分まで…!ありがとうございます!!」
二人はそう言って、やはり太陽のようなどこか似た笑顔を浮かべた。
菫はそれを見ても、もう、もやもやとした気持ちを抱かなかった。
そんなやり取りをしていると、屋敷を発つ者がもう一人門の外へ走り出てきた。
炭「お待たせしました!!禰豆子がなかなか離してくれなくって…!!」
現れたのは耀哉から来るようにと言われた炭治郎だ。
杏寿郎は炭治郎に笑みを向けると、爽やかな声で『時間に余裕はあるので問題無い!!』と言った。