第54章 嫉妬
菫がそう言うと蜜璃はパッと朝餉に視線を移し、嬉しそうにへにゃりとした笑顔を浮かべた。
蜜「ありがとう、 "菫ちゃん" !朝も美味しそうだわ!!」
「ありがとうございます。」
杏「……………。」
元教え子に自身のアプローチについて知られたのはまだ良かった。
こそばゆくは感じるが、特段困ることではないからだ。
しかし呼んだことのない呼び名を使われた事に関しては少々もやもやとした。
杏(女の甘露寺にまで嫉妬してどうする。)
杏寿郎は昨日より明らかに蜜璃と親しくなった菫を見つめ、一度口をきゅっと結んだ。
杏「……うむ!仲良くて何よりだ!そして今朝の食事も大変美味そうだ!!」
嫉妬の気配を感じ取れなかった菫は、その言葉を聞くと嬉しそうに笑った。