第54章 嫉妬
―――翌朝、
杏寿郎は口角をきゅっと上げたまま固まっていた。
昨夜蜜璃の前で菫を抱き寄せたのは、蜜璃に嫉妬してしまった菫の為である。
ハッキリと違う触れ方をすれば、菫がより安心するのではと思ったのだ。
しかし――、
蜜「師範はあまりにも鍛錬に一途だったので『恋愛には興味が無いのかなあ』って思ってたんです!でも女性にも一途で、それに情熱的だったなんて…!!」
そこまでは良かったのだが、その後、蜜璃が全てを聞き出してしまう事までは予想していなかった。
居間で朝餉を食べようとしていた杏寿郎は蜜璃の感想を聞いて、黙ったまま菫をじっと見つめた。
すると菫は申し訳なさそうな顔をする。
「その…、恋柱様、沢山作りましたのでそろそろお召し上がりになられて下さいませ。」