第54章 嫉妬
「なにを…ですか。」
気が付いたら触れてはいけない質問をしていた。
杏寿郎も訊かれるとは思っていなかった。
杏「……知りたいのか。」
杏寿郎の声が熱を孕むと菫はカッと耳まで熱くさせる。
「い、いえ…!すみませんでした…。」
そう言って杏寿郎の手を手首から剥がそうとするもちっとも剥がれない。
菫は自身の発言を悔いた。
一方、せっかく我慢していた所を邪魔された杏寿郎は、ぐらぐらと揺れる理性を保とうと頑張っていた。
杏(同じ失敗は恥だ。きちんと反省していたら同じ事は繰り返さない。)
そんな事を思いながらも手が菫を掴んで離さない。
菫が困って眉尻を下げながら後退ろうとすればする程追いたくなってしまう。
取り敢えず自身を煽るその行動を止めさせたくて手をくんっと引っ張った。