第54章 嫉妬
それから二ヶ月は平穏な生活が続いた。
鬼の出現率も少し減ったように思える。
しかしそれが却って怪しく感じ、鬼殺隊士達は身構えていたのだった。
そしてそれは正しかった。
上弦の伍である玉壺が日輪刀を作っている里、通称、『刀鍛冶の里』の場所を突き止めてしまったのだ。
そして、刃こぼれが酷くなっていた炭治郎は運が良いのか悪いのかその里を訪れていて、滞在している間に上弦の肆と伍の襲撃を受けてしまったのだった。
伊「おい!鈍治郎の分もよこせよ!!」
「お代わりですね。」
炭治郎が襲撃を受けているとは知らない杏寿郎、伊之助、善逸は見廻りを終えて菫と食事を取っていた。
善「はあ。いいなあ炭治郎。安全な場所でゆっくりしてんだろうなー。」
杏「彼処は温泉もあるからな!!」
それに善逸が『だから一週間も帰ってこないのかよ。』と再び溜息をつくと、杏寿郎は明るく声を上げて笑う。
杏「鬼を狩り尽くしたら皆で温泉にでも行きたいな!鬼が居なければ月見酒も出来る!!」
善「え、えっ」
善逸は "皆" というワードを聞いて菫をちらちらと見た。
「………?」
視線を感じた菫が箸を下げて善逸を見つめると、善逸はぽっと赤くなる。
杏「………………………………。」
杏寿郎はそんな善逸を口角を上げながら見つめた。
杏「菫は別湯だ!!!」
その音圧に善逸と伊之助と菫が肩を跳ねさせた。