第53章 遊郭に巣食う鬼
杏「要、君は菫に無事を伝えて来てくれ。」
要は食い気味に『カァ!』と鳴くと、元気に羽ばたいていった。
其処に今度は小芭内がやって来た。
彼にも勿論討ち取ったとの連絡が飛んでいたが、それでも息を切らすほど急いで来たようだった。
小「薬はどうだったんだ。今回もまぐれか。」
まぐれとは猗窩座の事である。
嫁から離れて二人の元へ近寄って来た天元は首を横に振った。
天「流石に毒を食らったら死にかけたが、動きには付いていけた。煉獄んとこの継子もオマケみたいな鬼とはいえ上弦相手に十分立ち回れていた。」
小「…そうか。まあ煉獄がいたから早く片が付いたんだろう。」
天「ほとんど俺が戦ったんだけど!?」
そうして最終決戦前に二体の上弦を斬ることに成功したのだった。
雛「ですが…、約束した筈です。」
ま「そうですよ…もう、十分です。」
須「天元さまぁ…引退しましょう…?」
天元はそう眉尻を下げる嫁達の頭を撫でた。
天「悪い。あと少しな気がするんだ。あと少し、待っててくれ。あいつらの力になりたい。」
天元は笑顔で継子達を労っている杏寿郎を見ながら最後まで共に戦う選択をした。