第53章 遊郭に巣食う鬼
杏「竈門少年等の鴉があれ以来何も伝えに来ないのは気掛かりだ。今夜も帰ってこないようであれば胡蝶に話を聞きに行こう。竈門少年の鴉に依ると、宇髄と合流したのは蝶屋敷との事だったからな!」
「はい。」
杏寿郎は見送りに来てくれた菫の頭を優しく撫でると強気な笑みを浮かべる。
杏「では行ってくる!!」
杏寿郎の笑みに菫も微笑み返す。
「お気を付けて行ってらっしゃいませ。ご武運を。」
その言葉にしっかりと頷くと杏寿郎は地を蹴った。
――――――
炭(鬼だ!!鬼の匂いだ、近くにいる!!!)
杏寿郎が屋敷を発って暫く経った頃、炭治郎はとうとう遊郭に住む鬼、堕姫を見付けた。
そして、伊之助、天元も動き出す。
上弦の鬼との戦いが始まった。
杏(うむ。)
一方、杏寿郎は何事も無く鬼を狩り、屋敷へ帰ろうとしていた。
しかし――、
要「遊郭ニ上弦ノ鬼ガ出タ!!急ギ応援ヘ!!」
杏「!!」
杏寿郎は目を見開くと目にも止まらぬ速さで駆け出した。
杏(上弦だったのか!!他の柱は…、)
考えても仕方の無いことを考えそうになる頭を振り、杏寿郎は更に足に力を込めた。