第14章 醜い痣
(これが続けば炎柱様のお世話に差し支える。)
そう思うと菫は思わず杉本を睨んだ。
杉本は余りにも反抗的な視線に気が付くと、目を見開いたまま菫の頬を叩いた。
―――パンッ
乾いた音が響く。
菫は体中が痛んで浅い息を繰り返していた。
「仕事に差し支える程の怪我は容認しかねます。」
しっかりとした声音を聞いた杉本は手の甲で逆の頬を叩いた。
杉「お前が妙な態度を取ったからだろ。」
低い声でそう言った後、急に態度を変えて笑みを浮かべた。
杉「なあ、清水。お前本当に炎柱が大好きなんだな。ならもっと素直に言う事を聞いておいた方が良いぞ。俺は乙だ、柱に近い。同僚になるかも知れないだろ。」
菫の顔に少しだけ臆病な表情が浮かんだ。