第52章 誕生日、そして二人の時間
杏「すまない、君の言う通りだ。そしてこんな事をした後に言うことではないが…おめでとう。」
杏寿郎の罰の悪そうな『おめでとう』に菫は思わず微笑んでしまった。
すると杏寿郎も眉尻を下げて微笑む。
杏「…二十二だな。この一年のうちに君を嫁に貰えるよう努める。」
腰を抜かしている菫は支えられながら杏寿郎の胸に頬を寄せた。
「…ありがとうございます。きっと叶います。」
杏寿郎は菫がまた自身の意思で胸に寄ってきてくれたことに強い幸福感を覚えた。
杏「…これから一緒に寝ないか。以前した事があったろう。手を繋いで。」
玄関には朝焼けの光が差し込んでいる。
報せが届かなかった菫はまだ寝ていない。
菫は少しだけ躊躇った後、こくりと頷いた。
そして二人は布団に入るとこれからの希望について話し、仲良く手を握り合うと昼まで一緒に寝たのだった。