第51章 目出度い報告
「音柱様…最終決戦になるかもしれないと仰られていましたね。」
杏「うむ!」
そうなった時、自身は居合わせる事が出来るのだろうか。
もしそうなったら役に立てるのだろうか。
それともあの屋敷で祈っている事しか出来ないのだろうか。
そんな考えが過ぎった。
杏寿郎はそれを察すると、隣を走る菫の頭を撫でた。
杏「君は俺を尊敬すると言うが、俺も君を尊敬している。君はいつも全力を尽しているだろう。それは必ず誰かの助けになる。だが、」
杏寿郎の眉尻が下がる。
心配する事があったからだ。
杏「…必ず俺の元へ帰って来てくれ。俺も君の元へ戻る。全てが終わる時、俺達は二人でいなくては駄目だ。」
菫は杏寿郎の真剣な瞳を見つめながらしっかりと頷いた。
「はい。必ず戻ると誓います。杏寿郎さんもお戻りになると信じます。」
そのしっかりとした声音を聞いた杏寿郎は少し安心した様に微笑み、菫の頭を再び優しく撫でた。
―――そうして約二ヶ月が過ぎた。