第51章 目出度い報告
杏(…無理をしているな。)
杏「すまない!腹が減ってしまった!茶屋へ寄っても良いだろうか!!」
杏寿郎は菫の眉が寄っているのを見てそう提案した。
菫は杏寿郎が気を遣った事に気が付いたが、珍しく甘えることにした。
「杏寿郎さん…ありがとうございます。速度も随分と落としてくださっているでしょう…?」
杏「いや!剣士であっても君くらいの速度の者はいたぞ!!隠にも関わらずそれはすごい事だ!!」
菫はそんな杏寿郎に微笑みを返した。
二人は隊服を着ておらず、着物に袴の姿だ。
(………。)
菫は杏寿郎の乱れない首元を見て頬を染めた。
どんなに動いても着崩さずにきちんと着こなす杏寿郎が彼らしくて魅力的だと思ったのだ。
杏「顔が赤いな。三十分程休もう!」
「いえ!五分で十分です!」
ただ頬を染めただけであるのに疲れているのだと勘違いさせてしまった菫は慌てた。
しかし、杏寿郎も優しい男だ。
当然身を案ずる。