第50章 薬がもたらしたもの
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「行ってらっしゃいませ。」
杏「ああ!君もよく眠るように!!」
げんなりしている善逸と鼻息荒くしてやる気を漲らせている伊之助を背に、杏寿郎は明るい笑みを浮かべながら菫の頭を撫でた。
どことなく寂しさを感じた菫は継子の前でもその熱い手を受け入れた。
炭「では一時間後、よろしくお願いします!!」
杏「うむ!!」
交代は一時間毎となり、炭治郎はそう言うと菫と共に杏寿郎達を見送ってから門内へと入った。
「竈門様、お休みなさいませ。」
菫は一度縁側に出ると、禰豆子が見つめる前で早速汗を流している炭治郎に声を掛けた。
涼しくはなかったが、杏寿郎に前注意された為に浴衣の上にはきちんと上着を羽織っている。
炭治郎はにこっと人好きのする笑顔を浮かべると『はい!おやすみなさい!』と言った。
(禰豆子様とは生活時間が被らないからあまりお会い出来ていない…。お喋りにならないし、お食事で喜んでもらう事もできないし…。)
そう思いながら頭を下げて縁側を後にした。