第50章 薬がもたらしたもの
青い彼岸花の種を持ち込んだ一人である菫は、今のところは問題が起こっていないのだと知って胸を撫で下ろした。
(でも竈門様に一瞬牙が生えたように見えたわ…。本当に見間違いだったのかしら。)
記憶があやふやだった為に首を傾げていると、杏寿郎が徐に菫に明るい笑顔を向けた。
杏「そろそろ菫も一緒に食べたらどうだ!一日中隠でいる必要はないぞ!!」
「それはいけません。これが私の仕事です。」
頑なな菫を見た杏寿郎は微笑みながらも眉尻を下げて残念そうに『むぅ。』と言う。
炭治郎と善逸はそんな二人を見て困った様にし、伊之助は菫に視線を移した。
伊「お前、紋次郎の面倒みてて何も食ってねぇんじゃねーのか。」
失念していた菫の腹の虫が切なそうに鳴いた。
杏寿郎は目を見開くとバッと立ち上がり、大股で炊事場へ入って行く。