第50章 薬がもたらしたもの
「申し訳ございませんが、お風呂の用意が出来ておりません。お食事を先にご用意致しますので、五分程経ちましたら居間へお越し下さいませ。」
その言葉を聞いた杏寿郎が嬉しそうな笑みを浮かべる。
杏「相変わらず "菫" は有能だな!!」
「…………ありがとうございます…。」
人前ではいつも通りの呼び方をするものだと思っていた菫は、面食らって動揺して、俯きながら呟いた。
杏「………………?」
対して杏寿郎は笑顔を浮かべ、腕を組んだまま首を傾げている。
ただ喜ばしい変化だと捉えていたからだ。
そんな二人を見た炭治郎と善逸は何かがあったのだと察し、伊之助は今から米を炊くのではないのだと知って喜んでいる。
炭「あの…、」
善「馬鹿ッ!しーっ!」
炭治郎は微笑みながら『目出度い変化があったのなら祝いたい。』というとてもピュアな想いを抱いて質問しようとし、善逸は菫が戸惑っている事から繊細な問題かも知れないと思って炭治郎を止めた。