第49章 進めたい関係
杏(早く出なければ!!)
杏寿郎は菫が頑として寝ないでいるだろうと思って急いで身を清めた。
杏「竈門少年!我妻少年!嘴平少年!お先に失礼する!君達もよく眠るように!!」
炭「は、はい!」
善「はい…。」
風呂へ来た三人にそう言うと髪を乾かしながら菫の部屋へ急ぐ。
案の定、菫はぐらぐらと体を揺らしながらも布団の上に正座をして杏寿郎を待っていた。
杏「君は……、」
そう呆れた声を出しながらも労うように頭を撫で、ほっとして気を抜く菫を布団に入れさせた。
「杏寿郎様…。」
眠そうな甘い声が呼ぶ。
杏寿郎は菫の隣の布団に入ると、なんだかいけない事をしている気分になって眉尻を下げた。
杏「……どうした。」
そんな杏寿郎に菫が手を差し出す。
「約束です。握って下さいませ。」
甘い声を聞いて気構えていた杏寿郎は可愛らしい願いに肩の力を抜いた。