第49章 進めたい関係
杏「うむ!今日の朝餉も相変わらず美味かった!!」
杏寿郎は宣言通りなるべく早く食べ終わると、ふらふらとしながらも働こうとする菫の代わりに炊事場に食器を下げ、炭治郎達にも『食器は自分で片付けるように!』と告げてから菫を横抱きにした。
「…杏寿郎様。」
菫はうつらうつらとしながら杏寿郎の胸にすりっと頬擦りをした。
杏「…菫さん!それはやめて頂きたい!!」
菫に甘えられる事に慣れていない杏寿郎は大きな声を出すと、菫の部屋の襖をスラッと開いた。
そして菫を座らせてさっさと布団を敷こうとするも、菫が杏寿郎の隊服を掴んで離さない。
杏「…汗をかいている。良い匂いはしないだろう、離してくれ。」
杏寿郎が心底弱った声音でそう言うと、菫は『良い匂いはします。』と言いながらも大人しく手を離した。
「杏寿郎様…、お風呂へ入られますか。お湯は沸いておりますが…。」
杏寿郎は布団を敷きながらちらりと菫を見た。
杏「出来るなら入りたいが…、許してくれるか。」
ぐずる子供のようになっていた菫は意外にも素直に頷いた。
「お待ちしています。」
杏「いや、寝ていてくれ。」
杏寿郎は再び菫を横抱きにして布団まで運ぶと、優しく頭を撫でて言い聞かせるように言った。
しかし、菫は返事をしなかった。