第48章 青い彼岸花の薬
しかし、それは杞憂に終わった。
伊之助は大して寝込まなかったのだ。
そんな伊之助を見た善逸は『飲むだけで強くなれるなら』と言って飲み、やはり大事にならなかった。
だが――、
杏「竈門少年!!」
善「炭治郎!」
伊「権太郎!」
「竈門様…!」
炭治郎は杏寿郎と同じく苦しそうに眉を顰めた後気を失ってしまった。
幸いなことに、手堅い性格の炭治郎は自室の布団の上で飲んでいた為、すぐに寝かせることが出来た。
「…では私は竈門様の様子を見ています。食事の前は部屋を離れますので、注意を割いて下さると幸いです。」
杏「分かった。」
杏寿郎はいざ目の前で気絶されると炭治郎を心配する気持ちが勝り、焼き餅などは焼かなかった。
しかし、焼き餅は焼かなくても炭治郎が鬼となって菫を襲う可能性もある。
それでも菫に炭治郎を任せた。
理由は無いというのに、『炭治郎に飲ませたのは正しい行為だった。』という強い確信があったのだ。