第48章 青い彼岸花の薬
そして、トップバッターはやはり杏寿郎が務めることになった。
せっかちな伊之助も名乗り出たのだが、指導者として、関係者として、先に飲まないわけにはいかなかったのだ。
三人は杏寿郎が鬼になれば誰も太刀打ち出来ないであろう事から汗を流し、菫は杏寿郎の左手を固く握っていた。
皆がそうやって見守る中、杏寿郎は片手で粉を口に入れ、そして茶で流し込んだ。
杏「……ッ」
杏寿郎は飲んですぐ、眉をぐっと寄せながらダンッと右手を畳についた。
「……杏寿郎様…………!」
菫が呼び掛けると杏寿郎は安心させるように左手を握り返す。
「竈門様、杏寿郎様のお部屋にお布団を敷いて頂けませんか…。」
菫が泣きそうな顔を向けると、炭治郎は『はい!!』と言って走って行った。
善逸と伊之助はおろおろしたり固まったりしている。
(ここまで苦しそうになるなんて…。)
「杏寿郎様、お部屋で休みましょう。」
菫はそう言うとヒュゥゥッと息を吸い、杏寿郎の体を支えてよろよろと立ち上がった。
杏「…すまない。」
杏寿郎はそう言いながらなるべく菫の負担を減らせるように立ち、自室を目指した。