第48章 青い彼岸花の薬
炭治郎は元から頑張り屋のようで言い渡された鬼のようなノルマを忠実にこなしていた。
伊之助は伊之助で、無限列車の任務で悔しい思いをした為に自分なりの鍛錬を行っていたようだ。
問題は善逸だ。
杏「我妻少年!気合いが入っていないな!!」
杏寿郎はバッと屈み、汗一つかいていない善逸の顔を笑みを浮かべながら覗き込んだ。
善逸は『ヒッ』と言って固まる。
菫はそんなやり取りを見つめた後庭から玄関へ戻り、自室へ行って隊服に着替え直した。
そしてリボンを手に取った時――、
杏「菫さん!」
杏寿郎が焦ったように声を掛けた。
一方、足音がしなかった為に菫は体をビクッと跳ねさせた。
「……杏寿郎様…如何されましたか…。」
杏「君のリボンを結うと約束したろう!」
菫は納得したものの、本当にしなくても良い事であった為に少しこそばゆく感じながら戸を開いた。