第46章 再会
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(……まだ婚約もしていない筈、なのだけど…。)
菫はそう思って困ってしまったが、周りがあまりにも当たり前に杏寿郎を迎え入れてしまっていた為に何も言えなかった。
杏寿郎もその場の空気に戸惑う菫に気付いていたので少々焦っていた。
何しろ頷いてくれるのかをまだ慎重に探っている最中であったし、流石に目の前で外堀を埋めたら菫が逃げてしまいそうな気がしたのだ。
杏「…水を差してしまうようだが、俺達はまだ恋仲になったばかりで婚約まではしていない!必ず口説き落とすと決めてはいるが、ゆっくり進めたいと思っている!なのでこの話はこれで終わりにして頂きたい!!」
杏寿郎がすぱんとそう言ってくれると、菫は安堵から深く息を吐いた。
「どちらにせよ、鬼殺隊に入っているが故に杏寿郎様のお父様とは未だお会い出来ずにいます。私が二十三になるまでは様子を見させて下さいませ。」
その言葉に三人は少し固まり、そしてクールダウンしてくれた。
それからは列車の鬼を斃した経緯を話したり、屋敷での暮らしぶり、恋仲になった時の事などを話した。
三人は驚いたり、喜んだり、死んだ様な顔をしたりしながら話を聞き、そして無事でいてくれた事、菫を守ってくれた事への感謝を杏寿郎に伝えた。