第45章 継子三人組
(杏寿郎様、お見事です…!!)
伊之助は怒りながらも見様見真似で箸を握って芋を突き刺し口に運んだ。
善「伊之助が人の道具を使った…。」
伊「馬鹿にしてんのかテメェ!ぶち殺すぞタンポポ頭が!!」
「…………………………。」
菫はその口の悪さに固まった。
鬼殺隊士と広い交流を持ち、気性の荒い仲間とも行動を共にした事がある杏寿郎はある程度耐性があったので、菫のびっくりしている様子に笑い声を上げた。
杏「子育てだと思うと良い!俺と君との間にならここまでやんちゃな子は産まれないと思うがな!!」
その言葉を聞いた伊之助以外の者が固まった。
一拍遅れて杏寿郎も固まる。
そしてみるみるうちに赤くなった。
杏「すまない!!…不適切な例えだった!!!」
杏寿郎は『 "人前で言うには" 不適切だった』ではなく、『 "今はまだ恋仲なのだから" 不適切だった』と思ったのだが、恋仲の先の関係を菫が考えてくれているのかどうかに触れるのは今ではないと思って言葉を省いた。
「……いえ、勉強にさせて頂きます…。」
なので、真っ赤な菫が蚊の鳴くような声でそう答えると期待で胸が一杯になった。
そうして菫がなんとか伊之助との交流を試みている中、炭治郎と善逸は非常に気まずい思いをしていた。
炭(あんまり見たら失礼だろう!…と分かっているのに!見てしまう!!)
善(菫さんが唯一の癒やしだと思って居間に入ったら何よこれ。とんだ地獄だよ。)
そうして五人の生活は波乱の幕開けとなったのだった。