第44章 青い彼岸花
耀「今の柱の子達は強い。だが、鬼もまた強い。勝つ為には痣を発現させる他ないと思っていた。だが…、」
そう言葉を切ると、再び種を撫でる。
耀「この薬の力を借りられたら痣を発現させなくとも勝てるかも知れない。痣には恐ろしい代償が必要だ。それは君達剣士だけでなく、多くの人達を巻き込む辛く悲しい物なんだよ。」
耀哉は代償が本人達の寿命である事を敢えて伏せた。
伝えてしまえば杏寿郎は喜んで痣を発現させようとするに決まっているからだ。
一方、そんな思惑に気が付かなかった杏寿郎は薬への考えを変え始めていた。
杏(そうなると話が変わってくる。ただの諸刃の剣ではなくなった。これは希望だ。)
杏寿郎の纏う空気が変わったのを感じると耀哉はにっこりと微笑んだ。
耀「では詳細が決まったら鴉を飛ばすので今日はもう下がっていいよ。怪我も治りきっていないのに、わざわざありがとう。」
その言葉に杏寿郎は再び頭を下げ、待っていた菫と共に屋敷を後にした。
そうして二人は青い彼岸花の秘密と種を耀哉に届けるという重要な任務を終えたのだった。