第44章 青い彼岸花
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耀「来てくれてありがとう、杏寿郎。」
部屋に入って開口一番、耀哉は相変わらず心地の良い声でそう言った。
杏寿郎はその言葉にバッと頭を下げる。
耀「まずは無限列車の任務について、上弦の鬼と闘った杏寿郎本人の口から詳しく報告して欲しい。」
杏「はい!」
杏寿郎は返事をすると説明を始めた。
その内容は殆どが鴉や隠からの報告と同じであったが、それでも耀哉は熱心に聞いた。
耀「そうか、その鬼は最期に戦うことを止めたんだね。」
杏寿郎は『はい。』と返事をすると猗窩座の瞳を思い出した。
杏(あの時、菫さんの中に何かを見たようだった。)
耀「では、青い彼岸花についての話をしようか。」
杏「はい!」
杏寿郎は再び口を開き、今朝からの出来事を要点を踏まえて無駄なく簡潔に説明した。