第44章 青い彼岸花
あ「産屋敷家は代々その様なものに優れていました。先見の明とも呼んでいます。」
耀哉は産屋敷家に眠る莫大な財産の中から、同じ血筋である無惨の手掛かりを何か一つでも掴めないかと、時折蔵に足を運んでいたそうだ。
そしてとある者の治療を行った医師の走り書きを見付けた。
耀哉曰く、それが匂うのだ。
しかしその医師が生きていたのは平安時代。
手間を掛けて子孫を探したが、繋がりがある者は皆殺されていた。
そうとなれば益々怪しい。
それでも道は絶たれたように見えた。
前回の柱合会議で菫の名を聞くまでは。
耀哉は菫の名を聞いて何かが引っ掛かり、菫の生い立ちを調べ直した。
そして元許婚が藤の花の家紋の家である事を知った。
そして、俊彦に『花に詳しい者はいないか。』と聞いたところ、『草花を取り扱って薬を処方している医者の家系が身内にある。』との事だった。
杏「なるほど。その花とは何なのでしょうか。」
あ「分かりません。ただ、 "青い彼岸花" だとしか記されておりませんでした。」
杏寿郎は話が終わった事を悟ると、パッと纏う空気を変えて頼もしい笑みを浮かべる。
杏「承知致しました!お館様が気になると仰ったことだ、何か重大な事が隠されているに違いない!責任を持って務めさせて頂きます!!」
あまねは小さく微笑み、頭を下げた。