第43章 対話
(杏寿郎様はきっと嫉妬なんてしないわ。私も幼い部分を改めなくては…。)
「いえ…、恥ずかしかったのを誤魔化そうとしただけです。すみませんでした。」
杏寿郎はその言葉を聞くとパッと菫の顔に視線を戻した。
そして首を傾げる。
杏(何か違和感を感じたが…、)
杏「…そうか!!」
杏寿郎は菫がなんとなく嘘を吐いた気がしたが、敢えて見逃して微笑んだ。
そして二人は仲直りのようなものをすると、再びきちんと布団に入り直し、仲良く手を握り合って話を続けた。
そうしている間に屋敷の慌ただしさが増す。
時計を見れば日の出は約一時間後だ。
それを確認した菫が杏寿郎に伝えようとした時、ドアを恐る恐るノックする音がした。
杏「戸を叩くまでに随分と時間が掛かったな!何か用か!!」
菫は杏寿郎の言葉とそのドアの叩き方から嫌な予感を覚え、バサッと頭まで掛け布団を被った。
男「お、お休み中に伺う無礼をお許し下さい!自分は寺本と言います!その、鴉伝いに報告を聞きまして…!」
つまり、杏寿郎の病室前には "上弦を斬った炎柱様" に一言贈ろうとする隊士が来ていたのだ。
それも一人や二人ではない。